2020年01月13日


50年生きていると、忘れていた出来事が時折なんの前触れもなく思い出されたり、またすぐに記憶の彼方に姿を潜めたり。
これは絶対忘れるはずがないと思っていた出来事でさえ、ふと長い間忘れていて、突然思い出したりするのだ。
そんなわけで、最近思い出したある貴重な出来事を忘れ去ってしまわないよう、書き留めておくことにする。

1998年4月4日。東京ドーム。
アントニオ猪木さんの引退試合。新日本プロレスさんにお招きいただいて、観戦させていただき、また、バックステージパスもいただいた。
試合後、関係者、報道陣でごった返すバックステージに私もいた。
すると、会場からバックステージへのあたりが急に騒がしくなった。
会場からモハメドアリさんが控室に向かいバックステージに戻ってこられたのだ。
皆が通路をあける中、5〜6人のSP(特別警固)に囲まれてモハメドアリさんが歩いてきた。
壁際に寄りズラリと並んだ人々の前をゆっくりと、少し足取りおぼつかなく歩く。
おそらく、プロレス界のそうそうたる大先輩の面々もいらっしゃった。
そんな中で、なぜか、アリさんが私の前で立ち止まった。
SP達も立ち止まる。
すると、アリさんは少し方向を変え、壁際に立っている私に向かって歩いて来られた。
そして、目の前に来られると、
なんと、ご病気で少し震える両手の拳を上げ、ファイティングポーズをとられたのだ。
私に向かって。
何故?
何故?
私は恐縮して深く礼をとった。
するとアリさんは、手を差し出し、握手をしてくださり、
そして、SP達に囲まれ、立ち去って行かれた。

なぜ、私の前で。
なぜ、私の前だけに立ち止まってくれたのか。

未だに謎であり、
そして、こうして確かな記憶なうちに書き留めておかないと、
もしかしたら、夢だったんじゃないかと忘却の彼方に飛んでいってしまいそうな、
嘘みたいな、本当にあった話。

忘れないよう。
ここに書き記しておくことにする。
posted by 石川雄規 at 23:07 | 日記
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